『その日のまえに』:重松清原作本を読みました
大林宣彦が監督した『その日のまえに』、積読状態の重松清の原作本を読みました。
いやぁ、映画化作品とはテイストが全く異なる作品でした。
全編7話からなる連作短編。
映画化作品はその7話のエピソードを、観る側の好き嫌いはあるにせよ、巧みに一つに纏め上げていました。
原作では重松清の文体の上手さに引き込まれます。
簡潔で、染み入る文章。
話し言葉には現代の言い回しは含みながらも、「読む文章」としての的確な表現。
特に、ともすれば平仮名ばかりが続いてしまいそうな、そんなリズムの文章での句点。
心の中で声に出して読みたくなるような表現でした。
そんな連作短編で最も心惹かれたのが、映画では柴田理恵が演じていたセールスレディと息子のエピソード。
ストリートミュージシャンが、実は女の子であったことも含めて、映画化はほぼ忠実なのですが、デパ地下で惣菜を買ってくる挿話が微笑ましくも痛ましい。
読みながら「あぁ、柴田理恵の当て書きかも」なんて思わせるぐらい、なんですもの。
へへへ。
どちらかというと、映画→原作の順がお薦めです。
だって、先に原作本を読んじゃうと「こんなの原作の映画化じゃない!」と思うこと100%ですから。
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でも、映画化は、原作の忠実な(万人が想像する)イメージの映像化ではない、のですから、大林作品にも首肯していただきたいところです。
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