『アンナと過ごした4日間』:妄恋、アンナに対する4日間の行為の意味 @レンタルDVD
ポーランド映画の巨匠イエジー・スコリモフスキ監督の『アンナと過ごした4日間』、ミニシアターでの公開時に評判でした。
劇場公開からほぼ1年を経て、DVDで鑑賞しました。
とはいえ、ポーランド映画の巨匠といえば、アンジェイ・ワイダしか思い浮かばなかったのですが・・・
そういえば『出発』という映画はタイトルだけは聞いたことがあります。
さて、映画について・・・
陰影の深い画面といい、ノイズといってもいいようなサウンド効果といい、かなり強烈な個性を持った映画であることは確かです。
ストーリーも一風変わっていて、妄執ならぬ妄恋の男のハナシです。
(妄愛なのか、妄恋なのかは、微妙ですが)
とはいえ、意外とその妄恋は判りやすい。
男は祖母に育てられ、コミュニケーションもうまくなく、周囲と打ち解けることが出来ない性格。
或るとき、釣りに出かけ、牛の死体が川を流れるのを目撃する。
そしてその帰り途、ボート小屋で女性が正体不明のむくつけき男に犯されているのを目撃する。
その光景は男にとって衝撃的であり、犯している男に自己投影すると同時に、犯されている女性・アンナを愛おしく思い、妄恋を抱いてしまう。
目撃した男は、事件を警察に通報するが、誤認逮捕されてしまう。
男にとっては、アンナを犯していたのは自分に他ならず、逮捕に異議を唱えることもなく、実刑をくらってしまう。
さて、出所後、男はアンナが勤める病院の焼却係として雇われ、アンナが住まう看護士寮の近くに暮らすことになる。
焼却係の仕事は不気味で、特に、解剖後の死体の一部なども焼却している。
男は寮に住まうアンナに対して妄恋を抱き続けており、夜毎に彼女の部屋に忍んでいき、ある行為を行う。
一日目は、彼女の制服から外れたボタンを縫い付けけること。
二日目は、剥がれた彼女の足のペディキュアを塗ること。
三日目は、彼女の指にエンゲージリングをはめること。
四日目は、彼女の部屋の壊れた鳩時計を修理すること・・・・
映画は、そんな男の現在の行為と、過去の出来事とを交差させながら描いていきます。
交差させて描いていくので、謎めいてサスペンスフルではありますが、4日間の行為の理由はそれほど難しくはなく、判りやすいと思いました。
一日目、二日目は、犯されていたときのアンナとダブるもの。その汚(けが)され、汚(よご)されたアンナを、元の姿へと戻そうとする行為。
三日目は、まさに恋の告白。エンゲージ。
四日目は、アンナと二人で朝を向かえ、朝の訪れを告げるものを修理しようとするもの。
四日目の行動の途中で男は捕まり、妄恋を成就することはできず、告白のエンゲージリングもアンナから拒絶されます。
男が絶望の淵で見たものは・・・
DVDの裏解説では「衝撃のラスト」云々と書かれていましたが、衝撃なのは観客にとってではなく、男にとってでした。
いやぁ、絶望の淵で見る・・・が、あまりに古びていたために、それまで男の行為が幻想・夢なのかと一瞬思いましたよ。
個人的には嫌いではないですが、傑作・秀作といっていいもかは少々疑問符なので、評価としては★3つ半かなぁ。
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2010年映画鑑賞記録
新作:2010年度作品
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日本映画20本(うちDVD、Webなどスクリーン以外 4本)
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日本映画22本(うちDVD、Webなどスクリーン以外20本)
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