『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』:この気持ち、判る判る @ロードショウ・ミニシアター
ポスターに写るじーさんとばーさん。微笑ましいなぁ。
ということで観てきました。
ハーブとドロシーは、ニューヨーク在住の現代アートコレクター。
元郵便仕分け職のハーブと、図書館司書のドロシー、ふたりは自分たちの給料で買え、かつ1DKのアパートに入るという二つの条件だけを満たしていればOK、後は好きかどうかだけ、そんな基準で現代アートをコレクションしてきました。
それがいつしか膨大な量にになり、ついには4000点を超えてしまい・・・
そのコレクションは、ヴォーゲル・コレクション。
おっ、たしか何処かいつかの美術展でお目にかかった文字面ではありますまいか。
そのコレクションの主が、こんなキュートなおふたりだったとは。
映画はそんなふたりのキュートさと鋭い感性を描いていきます。
ハーブは作品を追う猟犬のように、鼻面を突きつけて食い入るように見ます。
ドロシーは逆に、一歩引いて、全体を眺めます。
そんなふたりの姿を描いたスケッチが、これがいい。
鋭い感性のエピソードで紹介したいのがふたつ。
ひとつは、朝1時間程度こんな簡単な絵を描いて感性を目覚めさせる、という画家の小さなスケッチブック。
それをてにとってパラパラめくるハーブ。
「これは、この中に似合わないね」とハーブ。「美しく素晴らしいけれど」とドロシー。
画家が似合わない2枚とその前後数枚をスケッチブックから破りとって、並べてみると・・・・
確かにそのとおり。
もうひとつは、背丈ほどもあるキャンバスに克明に人物の顔を描く画家のアトリエからハーブが持ち去ったもの(トーゼン、買い取ったのですが)。
それは、床に落ちていた、画家がキャンパスに描く前に使ったモデルの写真、それには、キャンバスに写し取るためのフレームを示した黄色いテープが貼ってあるもの。
それが額装されてハーブの部屋の壁に飾られると、素敵なアート。
画家自身も驚くほど。
ハーブとドロシーは、画家の作品ひとつだけを見ているのではなく、その過程、画家の全てを見てみたい、見ているということ。
その気持ち、判る判る。
アートの世界にはそれほど精通しているわけではないけれど、映画を30年も観てきた身として、気に入った監督ならば、その作品を全部観たくなるのと同じこと。
映画の中で誰かがいってました。
「アートは中毒になる。一旦はまると抜け出せない」。
「アート」を「映画」に置き換えると・・・
りゃんひさも、ハーブのようなじーさんになれるといいなぁと思いました。
評価は★4つです。
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2010年映画鑑賞記録
新作:2010年度作品
外国映画46本(うちDVD、Webなどスクリーン以外10本)←カウントアップ
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旧作:2010年以前の作品
外国映画90本(うちDVD、Webなどスクリーン以外89本)
日本映画22本(うちDVD、Webなどスクリーン以外20本)
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この記事へのコメント
外見や生い立ちはまるで違う二人なのですが、内面は実に良く似ている。
理想の夫婦です。
りゃんひささんが、ハーブじ~さんのようになれるかどうかは、奥様を大切にできるかどうかにかかっている思いますが・・・。