『アーティスト』: チャーミング! @ロードショウ・シネコン

画像


これはヤラレた! とさぞかしハリウッドの御仁たちは臍を噛んでいることだろう。
サイレントムーヴィ時代からトーキーへと変わっていく時代の、サイレントスターの栄光と没落と再生。
それを、モノクロ、サイレント、スタンダードで描くのだから、この手は1回しか通じないのだから。

監督は『OSS 117 私を愛したカフェオーレ』で東京国際映画祭さくらグランプリを獲得したミシェル・アザナヴィシウス。
『OSS 117 私を愛したカフェオーレ』は未見ですが、ジャン・ポール・ベルモンドのコミカル活劇を意識し、オマージュを捧げた作品らしい。
なので、この監督、心の底からの映画好きなんでしょうねぇ。

ストーリーはシンプル。

サイレントスターの栄光と没落と再生。
それに、彼が見出した若きトーキー女優とのロマンス。

この映画が素晴らしいのは、終幕の再生のシーン。
前半でネタを振った伏線が、見事に活きる再生方法なのです。
それもあれだけの○○○をワンカットで撮って魅せるあたり、監督の心意気と、役者たちの役者魂を感じました。

評価は★4つ半を進呈。

終盤クライマックスでのストリングの劇伴、ちょっとヤリ過ぎだったのでは。
ヒッチコック監督の有名な映画の音楽なので、そこだけが、まるでヒッチコック映画みたいになっていました。
★半分の減点はここだなぁ。

<追記>
サイレント映画ですが、効果音だけで表現したワンシークエンスと、再生の○○○シーン以降にエッジが効いた演出があります。

<追記の追記>
サイレントからトーキーに変わる節目の傑作映画といえば『雨に唄えば』があります。
併せて鑑賞したいものです。

<さらに追記>
現代にサイレント映画を蘇らせる映画ではメル・ブルックス監督の『サイレント・ムービー』があります。
この映画でも、エッジの効いたセリフがあります。

・・・と次々に過去の映画を思い出させるのがこの映画の魅力であります。

 

------------------
2012年映画鑑賞記録

 新作:2012年度作品
  外国映画 6本(うちDVD、Webなどスクリーン以外 0本)←カウントアップ
  日本映画 4本(うちDVD、Webなどスクリーン以外 0本)

 旧作:2012年以前の作品
  外国映画11本(うち劇場 0本)
  日本映画 4本(うち劇場 2本)
------------------

この記事へのコメント

mizu223
2012年04月17日 03:14
『アーティスト』ついに、観ました!!
あらゆる強敵をしりぞけた、アカデミー作品賞受賞作品。モノクロ、サイレント、スタンダードのこの作品。21世紀の今の時代だからこそ、
サイレントムーヴィからトーキーへと変わっていく時代を知ってもらいたい、映画の素晴らしさを知ってもらいたいという作り手側の情熱と想いが伝わってきました。シンプルなストーリーがまさに人生の縮図だと思います。あの時代の、あのスターだったからこそ、その後のジョージのあの落胆ぶりには納得できますし、共感できるのではないでしょうか?執事の「誇りをお捨てください、ご主人さま」というお言葉にグッときました。ジョージのまっすぐさと、愛情の深さが、ペピーに執事にワンちゃんまで巻き込んでのクライマックスへとつながるのですね。おっしゃわれたとおり、終幕の再生のシーンは素晴らしいです。この映画で、映画と人生の素晴らしさを再確認です。★4つ半の素晴らしさでは ありますね。

この記事へのトラックバック