『それでも、愛してる』:鬱、というより自己分裂。そして再生 @ロードショウ・ミニシアター
ジョディ・フォスターの監督第3作目。
喜劇と悲劇が綯い交ぜになったようなドラマで、見応え十分。
父親からオモチャ会社を受け継いだメル・ギブソン。
2年前に鬱病を発症して、家族ともうまくいかず。
家を出て、モーテル暮らしを始めた矢先、ゴミ箱からビーバーのマペットを見つける。
マペットを左腕につけた彼は、心が軽くなり、心に鬱積していた思いがマペットの口から出るようになり、家族や会社で上手くいくようになる・・・
コメディのようなシチュエーション。
マペットの口から自ずと心の奥底が吐露していく序盤、ジョディ・フォスターの演出が冴えます。
同じ画面にメル・ギブソンとマペットを入れたり、メル・ギブソンだけだったり、はたまたマペットだけだったり。
非常に巧みで、マペットから出る言葉が、別人格を持っているかのように演出していきます。
観ているうちに思い出したのは、アンソニー・ホプキンス主演のスリラー映画『マジック』。
あれは腹話術の人形に人格を奪われていくハナシだった。
ほとんど同じよう。
また、マペットがビーバーということもあり、主人公だけに巨大なウサギが見える『ハーヴェイ』なんかも思い出した。
そうそう、あるシーンでは『ファイト・クラブ』そっくりだったりもする。
鬱、といっているが、その実、自己分裂の男のハナシに他ならない。
この映画の怖いところ(興味深いと言い換えてもいい)は、メル・ギブソンと対照をなすかのように高校生の息子を持ってきたところ。
息子の自己不安定さが、映画に深みを与えているし、家族の不安定さも巧みに表現している。
コメディのような、スリラーのようなホームドラマ。
ジョディ・フォスター監督、侮れない。
その上、落し処が辛らつで厳しい。
「喪ったものは戻らない。全て解決する、なんて嘘だ。」
しかし、その後に続くのは、「でも、決して独りではない」
喪ったものは元には戻らない。
けれど、独りではなく、父親と息子、同じ理解の上の二人であるならば、そして、家族がいるならば、きっと再生するはず。
評価は、★4つとしておきます。
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2012年映画鑑賞記録
新作:2012年度作品
外国映画17本(うちDVD、Webなどスクリーン以外 1本)←カウントアップ
日本映画 9本(うちDVD、Webなどスクリーン以外 1本)
旧作:2012年以前の作品
外国映画22本(うち劇場 0本)
日本映画 4本(うち劇場 2本)
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この記事へのコメント
心の病というか、脳の機能障害というか、この手の病気はそう簡単なものではないのですが、
それでも家族皆で立ち向かっていこうという最後のメッセージが温かい印象を与えます。