『夕陽に向って走れ』:迫力必至の追跡劇とニュー・シネマの匂い @VHS・中古
先ごろ観た『ソルジャー・ボーイ』に触発されて、アメリカン・ニュー・シネマへの郷愁が鬱勃。
書棚にある作品からこの作品『夕陽に向って走れ』を選択しました。
ロバート・レッドフォード、キャサリン・ロス、ロバート・ブレイクが共演した、1969年製作の異色西部劇です。
さて、映画。
米国西部のインディアン居留地にウィリー・ボーイ(ロバート・ブレイク)が出稼ぎから帰還する。
同じ部族の娘ローラ(キャサリン・ロス)と恋仲だが、娘の父親から交際を禁じられている。
ウィリーとローラの逢いびきを見つけたローラの父はウィリーを銃で脅すが、ウィリーは銃を奪った上、誤ってローラの父を撃ち殺してしまう。
ウィリーはローラを連れて逃亡をするはめになる・・・
それを、保安官補佐のクーパー(ロバート・レッドフォード)が仲間を引き連れて追うというストーリー。
ストーリーだけを書けば、ありきたりな追跡劇なんだけれども、クーパーの性格描写がひねってあって、そこいらあたりにアメリカン・ニュー・シネマらしさを感じます。
どのようにひねってあるかというと・・・まぁ、単なる正義漢ではないわけで。
つまり、
①インディアン居留地を管理する女性博士(スーザン・クラーク)と懇ろなる打算的性格。
②町を訪れる大統領の警備の任につくこともあって、上昇志向もある。
③にもかかわらず、世をどこか斜めから見ていて、皮肉・反骨の精神がある。
といった塩梅。
この複雑な性格付けがあるからこそ、中盤以降の追跡劇も活きてくるし、ラストも活きてくる。
まぁ、クーパーの複雑な性格なんてわからなくても、中盤以降の追跡劇の迫力は凄まじい。
岩山を逃げていくウィリーはローラ。
痕跡の匂いを辿るかのように追うクーパー。
ギラギラとした太陽、殺伐とした風景。
逃げ切れるはずはなく、逃げ切ったとしても幸せなんてなさそうな風景が続く。
撮影はコンラッド・ホール。
『明日に向って撃て!』、『グライド・イン・ブルー』のひと。
監督はエイブラハム・ポロンスキー。
日本で公開された監督作品はこの1本だけで、そのほか『刑事マディガン』『アバランチエクスプレス』『バチカンの嵐 』などの脚本を書いている。
評価は★4つとしておきます。
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2015年映画鑑賞記録
新作:2015年度作品:8本
外国映画 6本(うちDVDなど 0本)
日本映画 2本(うちDVDなど 0本)
旧作:2015年以前の作品:22本
外国映画16本(うち劇場 2本)←カウントアップ
日本映画 6本(うち劇場 0本)
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