『64 ロクヨン 前編』:なんだか事件が脇に追いやられているような @試写会

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本年期待作の1本『64 ロクヨン 前編/後編』の二部作、前編を試写会で鑑賞しました。
最近増えている二部作作品だけれども、成功しているのは『ソロモンの偽証』ぐらいかしらん。
わざわざ二部に分けなくてもいいようなハナシを、尺の関係か興行の関係かで分割しているような作品も少なくない。
と、期待半ばということで、さて、映画。

昭和64年に起こった少女誘拐殺人事件。
その年は天皇崩御により世間は混乱の極みだった。
事件も解決の目途もなく、時効があと一年と迫っていた・・・

というハナシは、かなり面白そうな展開。
キャストも演技派をズラリと並べ、事件と警察内部の対立をクルマの両輪として大きなうねりが展開していく・・・
はずなのに、どうもうねっていかない。

後編を観ていないのでまだなんともいえないのだけれど、前後編を一本の映画として観たときに、尺の半分に警察内部・警察とマスコミの対立というドラマが前半分を占めているのはいただけない。

まぁ、言っちゃ悪いが、組織内部の対立も、組織とそれを取り巻く周辺との対立はよくあるハナシで、あまり面白いものとは思われない。
ただし、警察側の主人公が、現場側からの揶揄の言葉を借りれば、「事務屋」というのは目新しいのだけれども。

とにかく、前半では、「昭和64年に起こった事件」のことが脇に追いやられてしまい、クルマの両輪としての役目を果たしていない。
そこへもってきて、前編の幕尻で「ロクヨン事件の模倣」が起こり、あとは後編をご覧うじろ、では・・・

ロクヨン事件の被害者は昭和に取り残されているけれど、期待した観客はスクリーンの前に取り残されてしまった感じ。

前編では、もう少しハナシを進めて、せめて模倣事件の初動捜査ぐらいは見せてもらわないと、次への期待感・ハラハラ感がなくなってしまいます。

事件の顛末が気になるので後編は観ますけど(たぶん)。

後編を通して改めて評価するとして、とりあえずの評価は★★★(3つ)としておきます。

<追記>
前日にテレビ放映された関連ドラマ『刑事の勲章』は、事件と警察内部の対立がうまく噛み合っていて面白かったんですが。

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2016年映画鑑賞記録

新作:2016年度作品:31本
 外国映画23本(うちDVDなど 0本)
 日本映画 8本(うちDVDなど 1本)←カウントアップ

旧作:2016年以前の作品:31本
 外国映画26本(うち劇場 6本)
 日本映画 5本(うち劇場 0本)
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