『招かれざる客』:いま観ても十分興味深い人種問題の映画 @DVD

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夏休みの駆け込み宿題ではないけれども、買い置きの旧作DVDをまとめて鑑賞しました。
1本目は1967年製作の『招かれざる客』。
原題は「GUESS WHO'S COMING TO DINNER」、ディナーに来たのは誰でしょう、と謎謎めいたもの。
同年の米国アカデミー賞の脚本賞(ウィリアム・ローズ)と主演女優賞(キャサリン・ヘプバーン)を受賞してます。
さて、映画。

サンフランシスコで新聞社の社主を務めるマット(スペンサー・トレイシー)とクリスティーナ(キャサリン・ヘプバーン)のドレイトン夫妻。
ふたりは自他ともに認めるリベラリストである。
ある日、東部の大学に通っている娘ジョーイ(キャサリン・ホートン)が急に帰省した。
連れてきたのは、15歳ほども年の離れた黒人医師ジョン・プレンティス(シドニー・ポワチエ)。
帰ってきた娘は、突然、ジョンと結婚すると宣言し、両親は慌てふためいてしまう・・・

というハナシで、異人種問題を扱った古典的な映画。
同年には同じくシドニー・ポワチエ主演の『夜の大捜査線』も製作されているので、同時、黒人問題は最先端だったのでしょう。

で、この映画、いま観ても面白い。
というか、すこぶる面白い。

白人女性と黒人男性との結婚話という主題もさることながら、リベラリストの両親が慌てふためくさまが面白い。
面白い、といっちゃ失礼か。
とにかく興味深い。

いつもな先進的な意見を述べていても、わが身に降りかかると、一転して保守的になってしまう。
特に、当時は、そうだったのだろう。

アカデミー賞を受賞したキャサリン・ヘプバーンもさることながら、スペンサー・トレイシーがとにかく上手い。
まぁ、大学生の娘の父親にしては、かなり歳を取っているのだけれど、気になるのはそれぐらい。

そして、やはりウィリアム・ローズの脚本が巧みで、紆余曲折の物語を1日の出来事としてまとめている。

最後の最後、父親のマットが理解を示して、両家の両親ともどもディナーの席に着くのは、当時としては、かくありたいという願いなのだろう。
静かな感動を呼びます。

演技陣では、ジョンの母親役ビア・リチャーズと、ドレイトン家のメイド役イザベル・スタンフォードが、これまた上手い。

評価は★★★★(4つ)としておきます。

<追記>
ほとんどが室内での会話劇だが、いくつかの野外シーンではスクリーンプロセスが用いられていて、それがかなり拙い。
また、バルコニーやそこから見えるサンフランシスコの遠景もセット然としており、そこいらあたりはかなり興ざめします。
2005年に、白人と黒人の立場を入れ替えて『ゲス・フー/招かれざる恋人』(未見)が作られているが、いま作るとすると、ディナーに娘が連れてくるのは同じ女性だったりするかも。
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2016年映画鑑賞記録

新作:2016年度作品:72本
 外国映画51本(うちDVDなど 8本)
 日本映画21本(うちDVDなど 4本)

旧作:2016年以前の作品:82本
 外国映画65本(うち劇場14本)←カウントアップ
 日本映画17本(うち劇場 5本)
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