『空飛ぶタイヤ』:2時間に巧みにまとめた社会派エンタテインメント @DVD・レンタル
昨年初夏にロードショウされた『空飛ぶタイヤ』、DVDで鑑賞しました。
『下町ロケット』の池井戸潤の原作小説の映画化です。
池井戸潤の小説は何作もドラマ化されているのですが観たことはありません。
小説も読んだことがない・・・
さて、映画。
ある日、神奈川県の道路で、1台のトレーラーが脱輪事故を起こしてしまう。
事故は、外れたタイヤが、歩道を歩いていた子ども連れの母親に直撃して死亡させるという最悪の事態だった。
事故原因はトラックを所有している赤松運送の整備不良、と製造元のホープ自動車は結論付けたが、詳細な整備記録から自社の整備員を信じた社長の赤松徳郎(長瀬智也)は、ホープ自動車に再調査依頼、原因部品の返却を求めるが突っぱねられてしまう・・・
というところから始まる物語で、物語の中心は中小企業社長の赤松だが、大手企業・ホープ自動車販売部門の課長・沢田(ディーン・フジオカ)がもうひとつの中心を担っていて、物語に厚みを出している。
赤松の行動は、敗者→逆転勝利の役割なので、彼だけに焦点を当てると、わかりやすい(感動を与えやすい)が物語は薄くなってしまう。
一方の沢田は、組織の歯車でありながら、正義と自身の出世を両天秤にかけながら行動するので、彼が何を考えているのかは直ぐにはわからない。
内部告発の文書にしても、単なる正義心から出たわけでなく、社内での生き残りをかけた権謀術でもあるわけで、そんなところをディーン・フジオカが無表情で演じており、意外とリアリティがある。
(もしかしたら、それほど演技が上手くないので、無表情でいるよう演出されたのかもしれないが)
その他、赤松運送の社員を演じる笹野高史、大倉孝二、六角精児、ホープ自動車社員を演じるムロツヨシ、中村蒼、村杉蝉之介など、いずれもよくみる脇役俳優たちだけれど、役どころにマッチしていて、豪華・ゴージャスではないが絶妙なキャスティング。
この絶妙なキャスティングが、2時間にまとめた脚本(林民夫)を活かしているとも言えるでしょう。
事故原因究明のカギを握る富山の運送会社社員を演じた佐々木蔵之介は、登場時間は短いながらも、要の部分を引き締めています。
監督は『鴨川ホルモー』『超高速!参勤交代』シリーズの本木克英。
コメディ畑のひとから、いまや松竹のエース監督になったと思います。
評価は★★★★(4つ)です。
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2019年映画鑑賞記録
新作:2019年度作品: 8本
外国映画 8本(うちDVDなど 0本)
日本映画 0本(うちDVDなど 0本)
旧作:2019年以前の作品:13本
外国映画10本(うち劇場鑑賞 3本)
日本映画 3本(うち劇場鑑賞 2本)←カウントアップ
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