『MISS ミス・フランスになりたい!』:ジェンダーフリーかジェンダーレスか @DVD
ことし2月に公開されたフランス映画『MISS ミス・フランスになりたい!』、DVDで鑑賞しました。
前置きなしで、さて、映画。
9歳の少年アレックス、学校のホームルームでの「自分の夢」の発表のとき、「ミス・フランスになりたい」と話してみんなから失笑をかってしまった。
以来、その夢は諦めていたが、20歳を過ぎたある日、「ボクシングでオリンピックに出る」と発表した同級生と再会。
彼は本当に「ボクシングでオリンピックに出る」ことになったのだった。
それから、アレックスは、男であることを隠して、ミス・フランスに挑戦、地区代表に選ばれて本選に進出するのだが・・・
といった物語で、主人公のアレックスを演じているのが、実際にパリでジェンダーレスモデルとして活躍するアレクサンドル・ヴェテール。
化粧する前のアレックスはさすがに「美青年」の域を出ないが、化粧をしてドレスを着ると、やはり息をのむほどの美しさがあります。
ま、ちょっと、体格が良すぎるきらいはあるんだけれど。
物語はアレックスを中心に、彼が暮らすアパルトメントの癖の強い面々とのやり取りを交えながら描いていきます。
本選メンバーはアレックスの他にも10数名いるわけですが、時節柄か、今年のテーマはSDGs・環境問題。
例年なら、キレイキレイなミス・フランスでよかったのだけれど、男性からみた女性像を実現しているだけでは物足りない。
そう感じた女性ディレクターは、自己主張もあるアレックスに白羽の矢を立てるのですが、ジェンダーレスとはいえ、やはり身体は男性のアレックス、本当のところは打ち明けられない・・・といったお定まりの描写。
とくれば、クライマックスは『トッツィー』と同じようになるのは明白で、そこいらあたり、予想を裏切ることはありません。
で、注目すべきは、このクライマックスの描写で、自身の男性としての肉体をさらすアレックスに対して、会場の観客は罵声や怒号を浴びせるのですが、いち早く拍手して、アレックスを称賛するのが、前年度のミス・フランス。
さりげない描写ですが、こういうところがいいんですよね。
ミスの座に近づくにつれて自身を忘れてしまうアレックスの描写など、それ以外にもいい描写が多いです。
ジェンダーフリーか、ジェンダーレスか、そもそもジェンダーなんて言っていること自体がナンセンスなのか・・・
そこいらあたりは、ま、これから、というところでしょうかね。
評価は★★★☆(3つ半)としておきます。
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2021年映画鑑賞記録
新作:2021年度作品:43本
外国映画25本(うちDVDなど11本)←カウントアップ
日本映画16本(うちDVDなど 6本)
旧作:2021年以前の作品:74本
外国映画49本(うち劇場鑑賞 4本)
日本映画25本(うち劇場鑑賞 5本)
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この記事へのコメント
>性別なんて関係ないと言葉では簡単に言えますが、それを実行していくのはどこの国においても難しい
たしかにそうです。ジェンダーレスは難しいですが、ジェンダーを言い訳や区別(や当然、差別にも)に使う社会がなくなるようにしたいものです。
もしかすると、デジタル情報ネイティブな子どもたちが大人になるとやってくる未来かもしれません。