『DUNE 砂の惑星』:21世紀のSF叙事詩・前編 @ロードショウ
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品『DUNE 砂の惑星』、ロードショウで鑑賞しました。
原作はフランク・ハーバートの同名SF小説(未読)。
かつてデイヴィッド・リンチ監督が映画化したことがあり、そちらは鑑賞しています。
さて、映画。
西暦10190年、皇帝と諸侯たちによって収められている宇宙。
アトレイデス公爵家は、海と大地の惑星を治めていたが、ハルコンネン男爵家に代わって砂の惑星デューンを治めることとなった。
デューンには惑星間航行に欠かせないスパイスがあり、重要拠点ではあるものの、莫大な利益が得られることから、ひとつの家でその富を掌握するのは、皇帝にとっては望ましいことではなく、かつ、現地・砂漠の民フレメンとの争いは絶えないことから、統治については帝国の最重要拠点であった。
さて、アトレイデス家の世継ぎポール(ティモシー・シャラメ)も父とともにデューンに赴くことになるが、彼にとっては気がかりなことがあった。
それは、ポールとデューン砂漠の民フレメンについての未来のイメージをみることであった。
そのイメージの中で、彼は救世主的な立場をとることになるのだが、果たしてそれは・・・
といったところからはじまる物語で、物語的には中世の貴種物語と大して変わらない。
また、物語の舞台が砂漠であることから、アレキサンダー大王の東征物語の流れにあるともみれる。
なので、物語は、乱暴にいえば「どうでもいい」。
いや逆に「どうでもいい」ぐらいな立場がこの映画には相応しい。
わかりきった物語を「どのように」みせるか。
「みせるか」は「魅せるか」であり、映像の力と語り口、それを楽しめるかどうか、そういう映画だろう。
映像の力は畏るべしい。
2時間半を超える長尺でありながら、派手派手しいトーンは棄て、モノトーンに近い映像。
砂の惑星だから、そりゃそうだ、とも思うのだけれど、きらびやかなところがひとつもない。
さらに、前半は戦闘シーンもなく、ゆったりゆっくりと展開する語り口。
それでいて飽きない。
(いや、飽きちゃう観客もいるだろうが、それでもかまわない、みたいな潔さ)
予言能力のある老女を演じているのがシャーロット・ランプリングだと気づかなくても、ステラン・スカルスガルド演じるハルコンネン男爵の移動方法が浮遊していると気づかなくても、もっといえば、サンドワームの全身がどうなっているかがわからなくても、それでも興味深いのです。
ただひとつ個人的には、デューンのアトレイデス家が襲撃され、ポールと母(レベッカ・ファーガソン)が生き残り、ポールがその後の予知夢をみるところで終わってもよかったかも、と思ったぐらい。
以降の砂漠の物語は、次章の始まり、2時間×三部作でもよかったかもね。
評価は★★★★(4つ)としておきます。
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2021年映画鑑賞記録
新作:2021年度作品:54本
外国映画32本(うちDVDなど13本)←カウントアップ
日本映画22本(うちDVDなど 7本)
旧作:2021年以前の作品:79本
外国映画54本(うち劇場鑑賞 4本)
日本映画25本(うち劇場鑑賞 5本)
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この記事へのコメント
これは後半を観ないと評価できないところあります、映像、音楽、キャストで満足の映画ですが、内容的には未知数かなという気もします。でも期待を込めて最高評価★5です(笑)
後編の製作も決定したようです。
っていうか、はじめから二部作構想ではなかったのか、と驚いたのですけど。
お、三部作ですか!原作は未読ながら、かなり巻数がありますからねぇ。