『地上より永遠に』:犬死の男たち、男に縛り付けられた女たち @DVD

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フレッド・ジンネマン監督の1953年作品『地上より永遠に』、買い置き中古DVDで鑑賞しました。
製作から60年近くも経っているんですね。
1980年ぐらいに名画座で1度、テレビの吹き替え版で1度、鑑賞しています。
なので、40年ぶりぐらいの再鑑賞です。
さて、映画。

1941年夏、米国ハワイ・ホノルルのスコーフィールド駐屯地に転属してきた青年兵プルーウィット(モンゴメリー・クリフト)。
得意なのはラッパを吹くこととボクシング。
部隊の中隊長ホルムズ大尉は大のボクシング好きで、冬に始まるボクシング大会の優勝を狙って、プルーウィットに部隊のボクシング部への入部を盛んに勧める。
が、プルーウィットは、かつてスパーリングで仲間を失明させた経験から、ボクシングについては固辞する。
大尉とプルーウィットに険悪な雰囲気を収めたのは、実質的に隊を率いている曹長のウォーデン(バート・ランカスター)。
計算高いが男気もあるウォーデンだが、ホルムズ大尉と夫婦関係が冷めきった大尉の妻カレン(デボラ・カー)と不倫の関係にある・・・

といったところからはじまる物語で、その後、ボクシングを固辞するプルーウィットに対して、大尉の差し金で猛烈なしごきが始まり、プルーウィットに味方した古参兵のマギオ(フランク・シナトラ)もある事件をきっかけに営倉入りとなり、挙句、野垂れ死んでしまう・・・と展開する。

どちらかといえば陰鬱な物語で、第二次世界大戦終戦後7~8年の間に、このような陰鬱な軍隊ものが戦勝国アメリカでつくられたことが今更ながら驚かされます。

プルーウィットはその後、クラブ(といっているが実質的には娼館だろう)の女アルマ(ドナ・リード)と懇意になるのだが、野垂れ死んだマギオの仇を討つべく、営倉主任ジャドソン軍曹(アーネスト・ボーグナイン)と私闘を演じ、腹部に大けがを負ってしまう。
12月7日の朝、日本軍による真珠湾攻撃が発生。
ウォーデンは機関銃を手にして勇猛に戦うが、プルーウィットは腹の傷のためアルマのもとで休んでいる。
外の戦闘に気づいたプルーウィットは傷をおして基地へ戻ろうとするが、途中、降下した日本兵と間違われ、仲間に撃たれて犬死してしまう・・・

最後まで陰鬱なことは変わらない。

ウォーデンの計らいによりプルーウィットは戦闘中の死亡と扱われて勲章授与されるが、ひとり本土に戻る船上のアルマの口から、勲章授与とプルーウィットの名前がかつての将軍と同じくロバート・E・リーだということが語られる(アルマはプルーウィットの犬死を知らない)。
大尉と離別した妻カレンが、アルマの隣でその言葉を聞いているところで映画は終わる・・・

あらすじを書けば書くほど陰鬱となってきます。

この陰鬱さは、軍隊というシステムから抜け出せず、このシステムの中でしか生きられない男たち、さらには、そのシステムの本来のところとは別のところで死んでいく男たちがばかりが描かれているからでしょう。
犬死のプルーウィット、野垂れ死にのマギオ、私憤・私闘の果てにプルーウィットに刺されて死ぬジャドソン。
真珠湾攻撃で勇猛に戦ったウォーデンですら、愛する女性カレンを守ることが出来ず、士官に昇進することを頑なに拒んでいる。
ホルムズ大尉も、私欲がもとで隊を去ることになる。

そして、そんな男たちに引きずられるかのように、女たちも誰ひとり幸せにはたどり着けない・・・

原題「FROM HERE TO ETERNITY」というタイトルは、「この地上に、永遠に縛り付けられたまま」逃れることのできないなにかそんなもの、という意味なのだろうか。

それにしても、こんな陰鬱な映画を飽きさせずに観せ切るとは、やはりフレッド・ジンネマン監督の手腕は凄いものだと感心しました。

評価は★★★★☆(4つ半)としておきます。

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2021年映画鑑賞記録

新作:2021年度作品:61本
 外国映画36本(うちDVDなど16本)
 日本映画25本(うちDVDなど10本)

旧作:2021年以前の作品:85本
 外国映画60本(うち劇場鑑賞 4本)←カウントアップ
 日本映画25本(うち劇場鑑賞 5本)
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この記事へのコメント

じゃむとまるこ
2021年11月10日 22:52
観る機会はあったのですが未見です。重い、長いというところがその理由なのですが、ジンネマン監督作でしたか、それは観なければ。
りゃんひさ
2021年11月11日 22:02
>じゃむとまるこさん

ジンネマン監督です。最近の2時間超の長い作品と異なり、予想以上にテンポよく展開します(物語が重いのは仕方がないところですが)。是非ともご覧くださいませ。

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