『ウォーデン 消えた死刑囚』:緊迫感のある力作ではあるが、少々腑に落ちないところもある @配信

ウォーデン消えた死刑囚.jpg

昨年1月公開のイラン映画『ウォーデン 消えた死刑囚』、Amazonの配信レンタルで鑑賞しました。
観るのは2回目なのだけれど、前回は途中から半分寝てしまい、よくわからなかったので、改めて鑑賞することにした次第。
さて、映画。

1960年代半ば、イスラム革命前のイラン。
空港拡張のために取り壊しが決まった刑務所では、移動の期限を迎えていた。
所長は、ヤヘド少佐(ナヴィッド・モハマドザデー)。
最終的な囚人移送も完了したが、報告を受けた数字では1名足りない。
どうやら移送先では、絞首刑台を作り直すための職人囚人を所長が説得しており、その囚人は後から所長が連れてくると勘違いしていたのだ。
とすると、未移送の1名は誰だ。
棟ごとに再度数えなおしたところ、3週間後に執行期日を迎える死刑囚アフマドであることが判明。
所内にいるはず、と徹底捜査をするが発見できず。
しばらく後、社会福祉士カリミ(パリナーズ・イザヤドール)がやって来、アフマドは冤罪である旨を訴え出る。
しかしながら、冤罪かどうかは所長にとってはどうでもよいことであり、職務を全うするためにはアフマドを発見せねばならない・・・

といった物語。

監督・脚本は、イランの俊英ニマ・ジャヴィディ
これが2作目で、デビュー作『メルボルン』は映画祭で観ており、その際、演出は手堅いが脚本にはやや難があるなぁと感じていました。

この映画でも脚本にはやや難があり、いくつか挙げると、

冒頭、2日前に別の死刑囚の死刑が執行されたことが語られ、刑務所の前で遺族が遺品の引き渡しを願っている、肌身離さずつけていたお守りがそれで、お守りが返されないということは、まだ生きているはず、と言い張っている、ということが語られる。

これは、ある種のミスリード&伏線なのだが、脚本での描き方の問題か、観ていて混乱してしまう。
ひとつは、アフマド探索の端緒で、所長が絞首台の下から見つけるお守り。
もうひとつは、中盤登場する家族(母親と娘)。

前者は明らかにミスリードの伏線なのだが、後者はアフマドの家族でありながら、2日前に死刑となった死刑囚遺族と混乱してしまう。

さらに、行方不明の1名がアフマドであることが判明する件がわかりづらく、字幕で「彼」「彼」と呼称しているのが、誰だかわからない。
(これは字幕製作の問題化もしれないが)

最後に致命的なのは、最後の最後、アフマドを発見した所長の変節・変心の理由がわからないこと。
突然のヒューマニズムの目覚めのようにしかみえず、唐突感は否めない。

冤罪という社会問題をイランで描こうとしたあたりのチャレンジ精神はあるが、旧体制時代を舞台にして、ある種の絵空事にしておかないと、国内的には敵対視されるおそれがあるからなのかもしれないけれど。

緊迫感のある力作ではあるが、ちょっと腑に落ちないところもあるので、評価は★★★☆(3つ半)としておきます。

なお、タイトルの「ウォーデン」は「WARDEN」で、管理人や監視員の意だが、主に米国では「刑務所長」も意で用いられる語らしい。
てっきり人名かとおもいましたよ。
わかりやすく「アフマド 消えた死刑囚」でよかったんじゃないかしらん。

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2022年映画鑑賞記録

新作:2022年度作品:18本
 外国映画10本(うちDVDなど 1本)
 日本映画 8本(うちDVDなど 0本)

旧作:2022年以前の作品:43本
 外国映画35本(うち劇場鑑賞 7本)←カウントアップ
 日本映画 8本(うち劇場鑑賞 1本)
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