『川っぺりムコリッタ』:うわ、実写版『めぞん一刻』かと思ったよ @ロードショウ

川っぺりムコリッタ.jpg

『かもめ食堂』『彼らが本気で編むときは、』などの荻上直子監督最新作『川っぺりムコリッタ』、ロードショウで鑑賞しました。
前置きなしで、さて、映画。

出所したばかりの前科持ちの青年・山田(松山ケンイチ)。
他人とあまり関わりたくないと思っている彼が選んだ勤め口は富山県の小さな町にある塩辛工場。
暮らす場所は工場の社長が紹介してくれた古い長屋建ての「ハイツ・ムコリッタ」。
大家の子持ち未亡人南さん(満島ひかり)は良いひとっぽいが、隣人の島田(ムロツヨシ)はどうにも遠慮がない。
そんな中、山田青年に届いたのは、幼いころに別れた父親の遺骨を引き取ってほしいと役所からの通知だった・・・

といったところからはじまる物語で、舞台設定から『めぞん一刻』か?と思っていたら、冒頭、字幕で「ムコリッタは仏教用語で1日の1/30の時間、48分。最小の時間の単位は刹那」と出る。

うわ、なんじゃぁ。ハイツ=めぞん、ムコリッタ=一刻ではないか。
ということで、バイアスから逃れられない鑑賞となってしまいました。

ま、コミックスの『めぞん一刻』はラブコメなんだけれど、表紙の悪いことに思い出したのは田中陽造脚本の実写映画の方で、「あれは、生と死と性がへんてこりんに結びついた映画だったなぁ」なんてことも。
いやはや、ながらく映画を観ているのは、いいことばかりじゃないですね。
バイアスかかりまくり。

こちらの「ハイツ・ムコリッタ」も、死が背景にある映画で、登場人物のそこかしこに死の影がつきまとっています。

未亡人の大家さんしかり、隣人の島田さんしかり、向かいの黒服親子は墓石の販売員だし、反対側の空き室には2年前死んだばあさんの幽霊が棲みついているし、と。
ちょっと過剰な感じ。

過剰な物語を緻密に描こうとする荻上監督の演出は、原作も脚本も自身の手によるものだけに、冗長になってまだるっこしくなった傾向があります。

後半の、謎の空飛ぶ物体(イカですね)、父親の遺骨を粉砕しながらの山田青年の独白あたりは長々しい。
墓石販売の黒服親子のエピソードも、かなり長い。

付け加えると、いくつかは過去の映画を彷彿させるシーンがあり、それがこの映画では(個人的には)いい方向に働きませんでした。

空飛ぶイカは、『プール』のタイにおけるお盆の風物。
夏のすき焼きは、大林信彦監督『異人たちとの夏』、山田の父の野辺送りは同じく大林監督『野ゆき山ゆき海べゆき』。
実写版『めぞん一刻』を彷彿とさせる性のシーンはないなぁ、と思っていたら、最後の最後の大家さんのシーン。

全体的にまだるっこく、後半ちょっと飽き気味。
120分の尺だけれど、タイトルにあわせて、2ムコリッタ(48分×2=96分)に縮めればよかったのに、と思いました。

評価は★★★☆(3つ半)としておきます。

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2022年映画鑑賞記録

新作:2022年度作品:53本
 外国映画29本(うちDVDなど 5本)
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旧作:2022年以前の作品:74本
 外国映画57本(うち劇場鑑賞12本)
 日本映画17本(うち劇場鑑賞 2本)
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この記事へのコメント

ぷ~太郎
2022年11月03日 16:00
私も「プール」を思い出しました。常に死というものが傍にある日常というか。でもこの監督では「生」が感じられる「かもめ食堂」が一番いいですね。
りゃんひさ
2022年11月03日 16:47
>ぷ~太郎さん

わたしも同監督作品では「かもめ食堂」がいちばんですね。

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