『天間荘の三姉妹』:半分死んだら驚いた @ロードショウ
10月末から公開中の映画『天間荘の三姉妹』、ロードショウで鑑賞しました。
12月に閉館が決まっている渋谷TOEIの最後の封切作品です。
さて、映画。
天涯孤独な少女・小川たまえ(のん)が黒ずくめ女(柴咲コウ)に連れていかれた先は、海にほど近い旅館「天間荘」。
黒ずくめの女が語るには、「たまえは交通事故で臨死状態になり、「もう一度現世に戻って生きる」か「天へと旅立つ」か自らの魂の決断が出来るまで、ここで暮らすのだ」という。
理解不能なことだったが、出迎えてくれた3人は、たまえの腹違いの姉ふたり(大島優子、門脇麦)とふたりの母親(寺島しのぶ)。
天涯孤独と感じていたたまえにとっては、突然、家族ができたようなもの。
しかし、3人を含めて、この町で暮らす人々は、現世に戻ることもできず、天へと旅立つこともできない。
決断ができるのは、「天間荘」の客人だけなのだった・・・
といったところからはじまる物語で、海に近い立地から、ははん、これは東日本大震災で津波に襲われ、行方不明になったひとびとが暮らす町なんだな、と察しが付く。
さもありなん、で、町の住人のひとりの青年(高良健吾)とその父親(柳葉敏郎)が交差するエピソードが描かれて、察したとおりだったもよう。
なので、この設定が受け入れられるかどうかどうかで面白さが具合が異なると思うのだけれど、個人的は、設定は受け入れることができました。
で、前半、老若ふたりの客人(三田佳子、山谷花純)のエピソードまでは、描かれているのが不安などの普遍的な心のありようなので、かなり面白く観ることができました。
ですが、中盤から、あらあら。
町の住人たちが天へ旅立つことができないのは、「行方不明で遺骨が発見されず、成仏できないから」と勝手に思い込んでいたのですが、なぁんだ「本人たちの死にきれない思いが残っているから」って、それってどうよ。
たしかに「死んでも死にきれない」という言葉があるから、そうなのかもしれないが、劇作的にはお手軽な設定に思えてしまいました。
結果、「半分死んでるってことは、半分生きてるってこと」という「生への執着」を示すいいセリフもありつつも、後半以降は観ていても気持ちが大失速。
訪問したことのある、下田海中水族館や新興の女川駅前の様子などが登場して、ちょっと好感度は上がったものの、終局は『丹波哲郎の大霊界』か他の新興宗教映画みたいになって呆然唖然。
ちょっと安易にあちらの世界を描いたかしらねぇ。
評価は★★☆(2つ半)としておきます。
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2022年映画鑑賞記録
新作:2022年度作品:64本
外国映画34本(うちDVDなど 7本)
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旧作:2022年以前の作品:81本
外国映画61本(うち劇場鑑賞13本)
日本映画20本(うち劇場鑑賞 3本)
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