『ザリガニの鳴くところ』:本格文芸ミステリ映画を堪能 @試写会

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11月18日公開のアメリカ映画『ザリガニの鳴くところ』、ひと足早く試写会で鑑賞しました。
全世界で1,500万部を超えるベストセラーミステリ小説の映画化。
驚愕のトリックなのか?という期待での鑑賞です。

1969年米国ノースカロライナの田舎町。
町はずれの湿地帯で、若い男性の墜落死体が発見される。
チェイスという名の彼は金持ちの息子で、町での人気者。
容疑者として逮捕されたのは、湿地帯にひとりで暮らす若い娘カイア(デイジー・エドガー=ジョーンズ)。
幼いころに家族から見放され、湿地で暮らしてきた彼女は「マーシュ・ガール(湿地の娘)」と町のひとびとから蔑まれていた・・・

といったところからはじまる物語で、映画は50年代、幼い頃のカイアの家族の物語にとぶ。

町から離れた湿地畔で暮らすカイアの一家は子だくさんの一家で、軍隊還りの父親は暴力的。
何かなく母親を殴りつけている。
ある日、母は何も言わずに去り、カイアの姉兄たちも順々に去ってしまう。
テイトという貧しい家の少年と湿地で出逢ったカイアだったが、父親から会うこと禁じられる。
しかし、その父もカイアのもとを去り、ひとりで生きざるを得なくなってしまう。
それから数年・・・
ハイティーンになったカイアは、成長したテイトと再会し、彼から読み書きを教えてもらう。
昵懇となったふたりであったが、テイトは貧しさから抜け出すべく、大学に進学し、カイアのもとから去ってしまう・・・

といったことが、裁判前後の様子を挟みながら進行します。

この前半が秀逸。

久々の本格文芸映画の雰囲気があり、米国湿地帯の風景の美しさも存分に、アメリカ映画の浪漫を感じます。

で、テイトが去った後、カイアが出遭うのがチェイスで、金持ちのボンボン。
「みてくれ」はいいが、中身はペラいのがすぐわかるという代物ですが、世間知らずのカイアにはまぶしい・・・

と、やはり!な展開。

以降は、風景の美しさを排除し、若いふたりの人物接写中心の演出で、少々、飽きが。

さてさて、そんなこんなで、映画を観ている方としても、カイア怪しい・・・と思うのですが、幼い頃から書き溜めた湿地の生物の絵が出版社に売れ、本となり、事件当日の夜には彼女は遠方にいたことが判明。

裁判は、「マーシュ・ガール」と蔑まれてきた彼女への偏見を払い去ることができるのか、というあたりに焦点が移っていくが・・・

と、ここから先は書きません。

ですが、この映画を観て思い起こした映画をいくつか挙げると、『アラバマ物語』『きみに読む物語』『黙秘』など。
最後に挙げた一編は、カイアに寄り添う弁護士役をデイヴィッド・ストラザーンが演じているせいかもしれません。
ストラザーン、この手の米国片田舎映画には欠かせない存在ですね。

久々に、本格文芸ミステリ映画を堪能しました。

ということで、評価は★★★☆(3つ半)としておきます。

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2022年映画鑑賞記録

新作:2022年度作品:60本
 外国映画33本(うちDVDなど 7本)←カウントアップ
 日本映画27本(うちDVDなど 0本)

旧作:2022年以前の作品:77本
 外国映画59本(うち劇場鑑賞12本)
 日本映画18本(うち劇場鑑賞 3本)
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この記事へのコメント

2022年11月22日 09:00
こんにちは。
これ、予想以上に面白かったです。
確かにおっしゃるように、本格文芸映画の雰囲気がありましたね。
ラストがどうであれ(別に特に「驚愕」ではない)構わないという気持ちにさせられました。
りゃんひさ
2022年11月23日 12:30
>ここなつさん

コメントありがとうございました。

>ラストがどうであれ構わないという気持ちに
させるあたりがこの映画のいいところなのでしょうね。
ちょっと「ミステリ」として売りすぎかなぁとは思いましたが。
じゃむとまるこ
2022年12月01日 23:10
こんにちは。
遅ればせながら先週観賞。
ミステリーとしては読めてしまうのですが、見どころはほかにありましたね。
人間も生物としての種の一つであると主人公が本能的に?考えているとわかったところで、なるほどと思うのですが、この考えが本作に単なる恋愛映画ではなく文学的香りをもたらしているのでしょう。
主演の女優さんがぴったりの配役で、あまり知られていない人だったのも良かったのだと思います。
りゃんひさ
2022年12月02日 09:25
>じゃむとまるこさん

コメントありがとうございました。
風景描写とともに、
>人間も生物としての種の一つである
というあたりが、まさに文学的な香りを醸し出していましたね。
良作・秀作というのが相応しい映画でした。

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