『武士道残酷物語』:シン・ニッポン残酷物語 @特集上映

武士道残酷物語.jpg

今井正監督の1963年作品『武士道残酷物語』、東映特集上映で鑑賞しました。
夏頃にも一度上映されていたのですが、その時はパス。
まぁ、今井正監督ということで、真面目な映画なんだろうなぁ・・・という思いでした。
さて、映画。

昭和30年代、若い男性(中村錦之助)は、自殺未遂で病院に救急搬送された婚約者(三田佳子)に駆けつける。
男が思い出すのは、かつて読んだ先祖の日記。
そこには、主君のために命を捧げざるを得なかった先祖のことが書かれていた・・・

といった物語で、徳川御代になる直前から当時まで、男の家系が描かれていきます。

すごいのは、中村錦之助が徳川御代から昭和期までの各エピソードでの主役を演じ分けていることで、恐るべき演技力(とそれを支えるスタッフ力)。

で、描かれるのは主君(君主・国家)に「滅私奉公」する男なのだけれども、犠牲となるのは妻や娘などの女性陣。
まぁ、こんなもんなんだよ、といえばそうなのだろうが、いまではこの題材は映画化が不可能のような気がしますね。

というのも、今井正監督作品なのに、エロ・グロ・バイオレンスのオンパレード。
第3話の殿様の小姓の話は、描き方はおとなしいが、内容はえげつない。
(男色の果てに、男性器をちょん切られてしまうのだからね)

また、主君を助けるがために娘を差し出し、さらに妻まで・・・
とか
差し出した娘と知らずに斬ってしまうとか、いやはやな趣向が満載。

ベルリン映画祭受賞作品なのだが、当時は、さぞやおどろいたことだろうね。
ゲイシャ・ハラキリは、この映画に依るところも大きいかも。

で、そんなことを思いつつ観るわけだけれど、ここに描かれる日本人の精神構造を「主君、命」的な「武士道」とみては、現代的ではなかろう。

「武士道」という美辞麗句の下で思考停止になってしまうことの恐ろしさが描かれており、武士道を「正義」とか「絆」とかに置き換えてみることもできようか、というあたりがそら恐ろしいのです。

ま、映画の結末は大甘なので、なんだかなぁと思いますが。

評価は★★★☆(3つ半)としておきます。

------------------
2022年映画鑑賞記録

新作:2022年度作品:61本
 外国映画33本(うちDVDなど 7本)
 日本映画28本(うちDVDなど 0本)

旧作:2022年以前の作品:80本
 外国映画60本(うち劇場鑑賞13本)
 日本映画20本(うち劇場鑑賞 3本)←カウントアップ
------------------

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック