『メタモルフォーゼの縁側』:友情発、成長行き @DVD

メタモルフォーゼの縁側.jpg

昨年6月に公開されて評判の良かった『メタモルフォーゼの縁側』、DVDで鑑賞しました。
レビューアップは前後していますが、本作が本年初鑑賞作品。
さて、映画。

書店でアルバイトをしている高校2年生の佐山うらら(芦田愛菜)。
あるとき、亡夫の法事帰りの老女(宮本信子)が買った本に人知れず驚いた。
老女が買ったマンガは、いわゆるボーイズラブ・モノ。
うららが、他人の眼を盗んで読んでいるジャンルのものだからだ。
家へ帰ってマンガを読んだ老女・雪はその内容に驚いたが、胸もトキメキ、続きが読みたくて仕方がない。
再びうららが働く書店へ出かけて続きを買う序に、雪とうららは知り合いになり、歳の離れたふたりの間に、友情めいたものが湧いてくる・・・・

といったところから始まる物語で、歳の離れた女性の友情物語。
前半はまさにその趣。

「あらっ」といって驚きを隠せない宮本信子、真摯に応える芦田愛菜、ふたりのコンビネーションがとてもいいです。

ふたりの友情物語のまま進むかと思いきや、後半はうららの成長物語、青春物語へと転調します。

何事にも尻込みするうららを雪が後押し(引っ張り?)して、うららはコミケへの自作マンガの出店を決意します。
が、どうにも筆は進まない。
失敗するのは目に見えている・・・
ハナから諦めムードのうらら。

たしかに、20ページほどのマンガは描き上げたが、出店には尻込みし、マンガを買ってくれたのは同級生で幼馴染の青年だけ。
もうひとり、会場へ向かう途中の雪に遭遇したある人物が、雪手持ちのものを1冊買ってくれたのので、合計2冊、200円。

200円といえども、雪からみれば勝ち戦。
いや、うららにとっては、出店から逃げてしまったので、負け戦だ。

終盤、もう1冊買ってくれた人物が(観客と雪に)明らかになり、うららにも・・・と思わせるが、安直な展開にならない。
ただ、うららは、そのもう1冊が、買った人物の励みになったことを聞くだけ。

ここんところの塩梅がいい。

うららは、これまでの自分に少しだけ克ったことを自身で知るのだ。

最後の最後、雪はうららの前からいなくなってしまうが、その展開(伏線も含めて)うまい。
さすがはベテラン脚本家・岡田惠和、といったところ。

狩山俊輔監督の演出も合格点。
未見の前作『青くて痛くて脆い』も機会があったら観てみたいですね。

評価は★★★★(4つ)としておきます。

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2023年映画鑑賞記録

新作:2023年度作品: 2本
 外国映画 0本(うちDVDなど 0本)
 日本映画 2本(うちDVDなど 0本)

旧作:2022年以前の作品: 4本
 外国映画 1本(うち劇場鑑賞 0本)
 日本映画 3本(うち劇場鑑賞 0本)←カウントアップ
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