『はい、泳げません』:考えすぎは頭痛のタネだね @DVD

はい、泳げません.jpg

昨年6月に公開された『はい、泳げません』、DVDで鑑賞しました。
あまり評判は芳しくありませんでしたね。
どうしてかしらん・・・とおもいつつ、
さて、映画。

大学で哲学を教える小鳥遊雄司(長谷川博己)。
小鳥遊は「たかなし」と読む、と最初の講義で伝え、そこから哲学の話へともっていくのが常。
彼は泳ぐことができない。
いや、水に顔をつけることさえできない。
そのことで過去に大きなトラウマを追ってしまった。
そんなある日、ひょんなことから水泳教室を訪ね、強引な勧誘で入会する羽目になってしまう。
勧誘した水泳コーチの静香(綾瀬はるか)は「必ず泳げるようになります。わたしが泳げるようにしまう」と請負うのだけれど、雄司は身体をこわばらせ、プールに入ることすらできない・・・

といったところから始まる物語で、このタイトルでこの内容だとコメディを期待するだろうねぇ。

雄司の別れた妻(麻生久美子)の言質や、静香の外出恐怖症の描写など、コミカルなシーンもあることはあるが、そこいらあたりはすべてダダ滑りで、笑えない。

映画のテーマは、雄司のカナヅチ克服を通してのトラウマ克服。
まぁ、しんどいといえば、しんどく重いテーマ。

水に入って、力を抜いて、考えることを忘れて、できることをひとつずつ積み重ねていく。
一時期流行ったヨガ映画のような感じ。

そういえば、人間の大脳の仕組みはヘンテコリンだと何かで読んだ記憶があります。
いま現在の一瞬一瞬間を生きていくには大脳は何も関与しておらず、ひたすら過去を想起し、未来を推察することに機能しているのだそうです。
過去とは体験識、知識の累積であり、小鳥遊を「たかなし」と読むのは、鷹がいない場所は小鳥が自由に遊べるという意味からです、というのも、知識であり、大脳の働き。
哲学は、そんな大脳を使って考える学問なので、哲学の専門家の雄司は「いま、泳ぐ」ということに集中できないわけ。

ま、これは現代の多くの人々にも当てはまるわけで、
将来を想像すると、いまが苦しい。
過去を思い返すと、いまが苦しい。

ロードショウ時に評判が芳しくなかった原因は、コロナ禍で苦しい中、いまが苦しいという映画を見せられても、あまり気持ちのいいものではなかった、ということでしょうね。

ですが、個人的にはこの映画、結構おもしろかったですよ。
面白いシーンが可笑しくないのは、よろしくないですけど。

評価は★★★☆(3つ半)としておきます。

------------------
2023年映画鑑賞記録

新作:2023年度作品: 2本
 外国映画 0本(うちDVDなど 0本)
 日本映画 2本(うちDVDなど 0本)

旧作:2022年以前の作品: 5本
 外国映画 1本(うち劇場鑑賞 0本)
 日本映画 4本(うち劇場鑑賞 0本)←カウントアップ
------------------

この記事へのコメント