『グレート・インディアン・キッチン』:悪夢のようなインドの伝統的価値観に基づいた生活・・・・ @DVD

昨年1月に公開されたインド映画『グレート・インディアン・キッチン』、DVDで鑑賞しました。
最近、再びインド映画ブームが来ているようですが、本作はそれらとは別のシリアス路線の映画。
さて、映画。
インド南西部ケララ州北部にある比較的近代化が進んだカリカットの町。
高位カーストの夫(名前は示されない。スラージ・ヴェニャーラムード扮演)のもとへ嫁いだ妻(名前は示されない。ニミシャ・サジャヤン扮演)。
夫の学者や裁判所判事も輩出している立派で伝統を重んじる家柄。
妻も高位カースト出身だが、中東で育ち、現代的な感覚を有している。
さて、ふたりの新婚生活だが、女学校の教師をしている夫は妻の現代的な感覚に対して当初、理解を示していたのだが、次第に伝統を重んじる家風の本性を見せ始め・・・
といった物語で、ポスターデザインではキッチンに立つ妻を夫が後ろから抱きすくめる微笑ましい画像が使われているが、「キッチンという名の牢獄」という恐ろしい謳い文句も書かれている。
もうこれだけで映画のすべてを現しています。
来る日も来る日もキッチンに立ち、配膳をし、汚れたテーブルの上の後片付けをし、キッチンの汚水を始末する。
その間に、義父の服を手洗いし、広い邸宅の掃除もする。
その繰り返しが描かれ、テンポよい編集とは裏腹に、観ているこちらも憂鬱になります。
さらに旧弊な考えは妻の月経に及び、不浄のものとして狭い部屋に押し込められ、虐げられてしまう。
月経=不浄という考え方は、同じインド映画『パッドマン』でも描かれており、インドでは根強いのだろう。
(日本でも、まだまだそのような考え方が残っていたりもするのだが)
これだけでも悪夢のような日々なのだが、そのうちに義父も夫も宗教儀式をはじめてしまう。
信仰心が篤いのはいいことなのだろうが、度を過ぎるとただの道楽にしかみえない。
最後の最後に妻からの意趣返しがあるのだけれど、これぐらいしか報復できないのがもどかしい。
義父や夫が価値観を変えるとは思えないし・・・
というわけで、溜飲を下げるところまではいかず。
悪夢のようなインドの伝統的価値観に基づいた生活・・・・
怖いなぁ、これは。
と他人事のように感じてはいけなくて、日本でも程度の差はあれど、この映画に近い価値観が根底にあることを見過ごしてはいけないんですよね。
評価は★★★☆(3つ半)としておきます。
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2023年映画鑑賞記録
新作:2023年度作品: 4本
外国映画 1本(うちDVDなど 0本)
日本映画 3本(うちDVDなど 0本)
旧作:2022年以前の作品: 8本
外国映画 3本(うち劇場鑑賞 0本)←カウントアップ
日本映画 5本(うち劇場鑑賞 0本)
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