『渦』:ヴィルヌーヴ監督の萌芽を感じさせる初期作品 @DVD

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2000年製作のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品『』、DVDで鑑賞しました。
近年はSF映画(それも大作)が多い監督ですが、監督初~中期は凝った映像&ストーリーの映画監督という印象です。
本作は長編第2作目、日本に初めて紹介された作品です。
さて、映画。

妊娠中絶手術を受ける20代半ばの女性ビビアン(マリ=ジョゼ・クローズ)。
友人のクレール(ステファニー・モーゲンスターン)は既に3度の中絶手術経験者で、自責の念に苦しむビビアンに助言をするも、彼女の鬱な気持ちは持ち直さない。
著名な女優の娘であるビビアンは、兄の出資によりブティックチェーンを展開していたが、傍から見るより経営は苦しい。
兄からはブティック閉鎖の話も出ている。
ますます鬱が募るビビアンは、ある日、憂さ晴らしでクラブに行って酩酊状態となり、帰途、運転する自動車で何者かと衝突してしまう。
翌日、目覚めた彼女は、自動車に傷があること、車体が妙に魚臭いことなどに気づき、昨夜の出来事を思い出す・・・

といったところまでが導入部で、映画の半分ほどを費やしている。

冒頭、調理される魚が因縁話めいたことを口にするグロテスクな描写があり、さらにビビアンの鬱話が青を基調とした美しいが気の滅入る色調の画面でもたもたと展開されるので、うへぇ、とかなり辟易、退屈気分になってきます。
配信だったら、このあたりで観るのをやめるひとも多いかもしれません。

で、追突事故は起こしたがそれはニュースにならない。
が、数日して、食卓の椅子に腰かけた交通事故死体が発見のニュースが新聞に掲載され、よもや、と思ったビビアンは死体のことが気になって行動を開始する・・・

この中盤以降は、後の『灼熱の魂』でみせた一級のストーリーテリングの萌芽を感じさせ、かなり面白い。
死んだ男の息子とビビアンが急速に親密になるのも自然な展開。
そんなこんなを、時系列を操作して「なぞかけ」と「なぞとき」のバランスも良くて面白い。

最後のオチは、調理される魚が再び因縁話を話し始めるのだけれど・・・というのも洒落が効いています。

評価は、★★★☆寄りの★★★(3つ)としておきます。
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2024年映画鑑賞記録

新作:2024年度作品:1本
 外国映画 1本(うちDVDなど 0本)
 日本映画 0本(うちDVDなど 0本)

旧作:2023年以前の作品:3本
 外国映画 3本(うち劇場鑑賞 0本)←カウントアップ
 日本映画 0本(うち劇場鑑賞 0本)
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この記事へのコメント

ここなつ
2024年01月23日 09:58
こんにちは。
本作はたまたまドイツ大使館でのイベントがあって公開時に観たのですが、私には強烈なインパクトで、この監督に注目したきっかけでした。
そして今でもそのインパクトが継続している辺り、凄いなぁと思っております。
りゃんひさ
2024年02月08日 09:49
>ここなつさん

コメントありがとうございます。
予備知識なしで本作観ると、かなりのインパクトだったでしょうね。