『ショーイング・アップ』:ライカートが描く米国人の本質 @配信

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昨年12月に特集上映されたアメリカ映画『ショーイング・アップ』、U-NEXTの配信で鑑賞しました。
監督は、ケリー・ライカート
小さな物語の中にアメリカの本質のようなものを描き入れるインディペンデントの監督です。
さて、映画。

米国中西部オレゴンで美術学校に勤める塑像作家のリジー(ミシェル・ウィリアムズ)。
個展に向けて最後の追い込み中。
同じく現代アートの作家ジョー(ホン・チャウ)の家を間借りしているのだが、ある朝未明、飼い猫が鳩を弄んでいるのを玄関口で発見。
「死ぬなら別のところで死んで・・・」と窓から瀕死を鳩を放り出したところ、朝になって、ジョーがくだんの鳩を発見した。
手当したいが出かけなければいけないジョーに代わって、リジーが鳩の看病をする羽目になってしまう・・・

といったところからはじまる物語。

ポイントはふたつ。

ひとの生活に潤いを与えるのが芸術なのだが、その芸術作品を作り出す芸術家が、どうにもこうにも疲弊しており、余裕などないという矛盾。
もうひとつは、鳩のエピソードに秘められた、加害者としての米国人から来る後ろめたさ。

後ろめたさを払拭するように行動するがゆえに、さらに疲弊してしまうという悪循環が描かれ、心を病んだリジーの兄ビル(ジャド・ハーシュ)のエピソードなど、両親との確執など、もっとドラマティックになりそうな題材にもかかわらず、ドラマ性は薄い。

本作鑑賞前に、ライカートの旧作『ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択』を再鑑賞したのだけれど、ライカートは本質的には中編レベルの長さの監督のようで、本作では幾分間延びした印象が拭えず。

傷ついた鳩はいつしか回復し、リジーの個展初日に、幼い兄妹が籠から出してやるのだが、ケン・ローチだと絶対に壁かガラス窓のぶつかるよね、というところ。
これが、まぁ、そうならないあたりがライカートの良さなのだが、ある種の能天気さも感じられます。

そう、加害者としての後ろめたさと、どこかなんとかなるかも的な能天気さ。

本作でも、米国の本質がきっちり描かれていたんですね。

評価は、★★★☆(3つ半)です。

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2024年映画鑑賞記録

新作:2024年度作品:18本
 外国映画17本(うちDVDなど 1本)←カウントアップ
 日本映画 1本(うちDVDなど 0本)

旧作:2023年以前の作品:31本
 外国映画29本(うち劇場鑑賞 8本)
 日本映画 2本(うち劇場鑑賞 0本)
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